老人のデブゴンとウルバリン

 ひと昔まえの有名人の訃報が次々に伝えられる今日このごろ、中国出身の知人から”良かったよ!”と聞かされ、待ちに待った「おじいちゃんはデブゴン(特攻爺爺)」が公開された。
 
 
”デブゴン”でピンとくる人は、きっとそれなりに年を重ねた世代だろう。
(冷静に考えるとデブゴンって呼び名はひどいな)
 
デブゴン(サモハン)はジャッキーチェンの兄貴分にあたる人だから、とっくに還暦を超えている。
ほんとに”おじいちゃん”になっている。
 
今回のデブゴンは、お笑いの要素も少なく、アクションシーンの時間も少ない。
近所の少女との交流がメインのしみじみとする映画だ。
 
しかし認知症でボケてるのに、いざ戦うときは最強っていう設定は、最高!
 
年を取って動けない分、少ない動作で関節を決めるタイプのん技がたっぷりで、個人的にはここ最近観た映画のアクションシーンの中でも抜きん出てよかった。
 
※デブゴン自ら映画で使った技をベースにした護身術をyoutubeで公開している
 
これは私の好みなので、昔のデブゴンのように飛んだり跳ねたりが好きな人には物足りないかもしれない。
 
香港映画が好きな人には馴染みの顔がたくさん出ていたけど、もうみんな老人の役ばかり。みんないつ死んでもおかしくない。
きっと観客もそれなりの年齢なんだよなぁ。
 
 
同じタイミングで、もう一本老人が主人公の映画が公開されていた。
 
ずっとオッサンのまま死なない身体の”はず”のミュータント、ウルバリンが主人公の映画「LOGAN/ローガン」だ。
 
 
撃たれても刺されても傷が再生する身体が急に衰え始め、オッさんから爺さんになったウルバリン(ローガン)。
リムジンの運転で生活費を稼ぎ、認知症のプロフェッサーXの面倒をみている。
というあらすじを読んで、猛烈に観たくなった。
 
デブゴンとローガン、このふたつの映画には共通点が多い。
どちらも全盛期を過ぎた老人が身体を張ってひとりの少女を守るストーリーで、認知症も重要な要素のひとつだ。
そして、どちらも容赦ないアクションシーンがあるからR指定
高齢者社会へ突き進む今の時代の流れから生まれた映画なんだろう。
 
しかし別の映画で登場人物がキレキレだったころの記憶があるから、いろいろと切ない。
 
本当にあのスペクタクルなXmenシリーズのスピンオフなのか?という内容だ。
しかもメキシコからカナダへ逃避行をする”ロードムービー”(←私は好きなのだ)。
 
ひょんなことから田舎の家庭の晩御飯に呼ばれ、ほんのつかの間の団欒を楽しみ、床につくプロフェッサーXを見て泣きそうになった。自分自身も年を取ってしまったせいか、ここ最近涙腺が弱くなっている。
 
もともとXmenシリーズは単なるSFアクション映画ではなく、社会的に疏外されたマイノリティーの問題がテーマにあった。「ローガン」は人生や家族のことを振り返って考えるような映画だった。
 
アメコミ原作のウルバリンとプロフェッサーXというキャラクターをここまで映画の中で活かし切ったところは見事というしかない。
アクションシーンも含め、最初から終わりまで文句を言うところがなかった。
 
主演のヒュージャックマンもプロフェッサーXのパトリックスチュワートも今回でXmen映画への出演は最後だそうだ。
まさに有終の美を飾った作品だったと思う。
 
 
でもさ、誰がこんな姿を想像しただろう。
認知症のデブゴンが忘備録用のボイスレコーダーを持ち歩き(しかも操作をミスする)、プロフェッサーXのしもの世話でウルバリンが右往左往する。
石坂浩二浅丘ルリ子が同じ老人ホームで一緒に暮らす。
 
昔のように、あの頃のようにはいかない。
でも死なない限り、人生は続く。
ヒーローも例外じゃない。
映画の世界だけでなく、現実世界でも全く同じ。
 
100歳まで生きる時代をどう過ごすか?なんて本が売れてるようだけど、そりゃ売れるよな。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 
ここ最近感じていることが映画からフォードバックされて、さらに強く実感するようになった。
 
家族と自分自身の細胞の衰えも日々感じてる。
そして、これからは老いてから過ごす時間がもっともっと長くなるんだ。
 
もっとも豆腐の角に頭をぶつけて突然死んでしまうこともあるかもしれないが。
 
さて明日は老眼鏡買いに行こう。